おいおいww
ニュースが多すぎるぜよwww

Jリーグ公式鹿島アントラーズ  2007Jリーグ ディビジョン1 優勝におけるチェアマンコメント

鹿島アントラーズは、1年間オズワルド オリヴェイラ監督を中心に積み上げてきた力が、終盤の9連勝、そして今日の素晴しい優勝、さらにはJリーグ史上最多の10冠獲得につながったと思う。伝統クラブの意地を見せたというところだろう。よくがんばった。おめでとう!

浦和は残念な結果となったが、ACL、リーグ戦と2つのタイトルを狙った意気込みに敬意を表したい。

アントラーズ、レッズの優勝争いが、終盤のリーグ戦を盛り上げてくれた。感謝したい。


(社)日本プロサッカーリーグ
チェアマン 鬼武 健二

カズさんが止めを刺してくれたチームの事なんて
どうでもいいだろうが。

JFA【2007Jリーグ ディビジョン1】鹿島アントラーズ、劇的な逆転Vで10冠達成!

2007Jリーグ ディビジョン1の最終戦となる第34節が1日、全国各地で行われ、前節まで首位の浦和レッズが0-1で横浜FCに敗れ、勝点1差で2位につけていた鹿島アントラーズ清水エスパルスに3-0で勝ちました。この結果、鹿島アントラーズが6年ぶり5回目のJ1王者に輝き、Jクラブ最初となる10冠目を獲得しました。
鹿島アントラーズは前半小笠原のゴールで先制すると、後半にも追加点を重ね、3-0で清水エス
パルスに勝利しました。また、浦和レッズは、横浜FCに先制を許すと、その後猛攻を仕掛けますが、
最後まで得点を奪えず、0-1で敗れました。
この結果、鹿島アントラーズが6年ぶり5回目のJ1王者に輝き、Jクラブ最初となる10冠目を獲得しまし
た。

茨城新聞サッカーJ1鹿島、最終節で逆転V

この記事、たぶんリンクが変わるので気をつけて。


 鹿島が悲願の10冠達成−。サッカーJリーグ1部(J1)は一日、各地で最終節を行い、鹿島はカシマスタジアムで清水に3−0(前半1−0)で快勝。首位浦和が横浜FCに0−1で敗れたため、鹿島が劇的な逆転優勝を飾った。鹿島のリーグ制覇は二〇〇一年以来六年ぶり五度目。天皇杯二度、ナビスコ杯三度の優勝と合わせ、国内主要タイトル獲得数はJリーグ史上初の通算10に達した。

■浦和敗れ悲願の10冠達成
 鹿島は第二十六節からの八連勝で首位浦和を猛追。前節、浦和との直接対決では二人が退場となる厳しい展開ながら1点を守り切って勝利し、勝ち点差を1とした。
 最終節は得失点差の関係もあり、鹿島は勝利が絶対条件だった。前半二十分、石神のクロスに反応したマルキーニョスペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得すると、小笠原が落ち着いて決めて先制。後半三分にはCKのこぼれ球を本山が豪快にたたき込んで2点目。さらに十三分にはマルキーニョスがダメ押しの3点目を決めた。
 リーグ戦を九連勝で締めくくり、ピッチになだれ込んだ鹿島の関係者はスタジアムのオーロラビジョンに映し出された横浜FC−浦和の試合を見守り、試合終了とともに歓喜に包まれた。
 今後、鹿島は第八十七回天皇杯全日本選手権で今季二冠目に挑む。五回戦は八日、カシマスタジアムで行われ、甲府と対戦する。

asahi.com本山、優勝を語る 常勝の伝統受け継ぐ

優勝が決まる瞬間、気がつくと胸にある10番をサポーター席に示していた。ユニホームの袖にタイトル数と同じだけつける星の数が、やっと背番号に追いついたから。ジーコやレオナルドが背負った10番。僕が担った02年から星は一つしか増えていなかった。責任を感じていた。



抱き合って喜ぶ鹿島のオリベイラ監督(中央)と本山

 勝てなかった時期、リーグもカップ戦も、あと一歩まで行くのに頂点に立てない。「何かが足りない。何が足りないんだろう」と自問自答しながら戦い続けていた。10冠目を取れた今、思い当たるのはチームの団結力。前節の浦和戦もこの日も、選手みんなで最後まで走り、守り抜いた。そんな姿勢が、どこか欠けていたのかな、と。

 気づかせてくれたのは、開幕から5試合も勝てなかったこと。ホームの大宮戦(4月7日)に引き分けた後、サポーターに帰りのチームバスを囲まれた。危機感が芽生え、次の試合から勝ち始めた。気合を入れるため僕は頭を丸めた。周りへのメッセージの意味もある。偶然かもしれないけど、選手間のコミュニケーションが増えたのもあの頃からだと思う。

 プレー面では、攻めたい気持ちを抑えて守備と全体のバランスに気を使った。オリベイラ監督と対話を重ね、チームのためスタイルを変えた。そうやって初めてリーグ全試合に出場できた。疲労は濃いけど、これが充実感なのかな。

 今の若手にはレオナルドを知らない選手もいる。彼らと一緒に「常勝」という鹿島の伝統を受け継いでいかなくてはいけない。でも、とりあえず今はホッとしています。やっと髪も伸ばせるし。(談)

asahi.com鹿島 沈着スキ突き3ゴール

試合が終わると、オリベイラ監督が両手を突き上げた。浦和の状況を知らない選手たちはそれを見てピッチに倒れて泣き、抱き合った。

 浦和の試合は終わっていなかったが、スコアを伝え聞いた監督は確信していた。浦和の苦しむ姿が大型画面に映し出される。約3分後。「浦和が敗れるとは……」。本山は驚いた。「信じられない」。岩政は号泣した。約40日前にあった勝ち点差10からの逆転優勝。全員が跳びはねた。

 優勝のもつれた最終戦。いつもと変わらず、「落ち着いて試合を運んでいた」と曽ケ端。すきはなかった。

 押し込まれた序盤。我慢の時間が続いた。慌てず複数で囲んで球を奪うのは普段通り。逆襲のきっかけを探った。前半20分、速攻からマルキーニョスが倒されてPK。小笠原が冷静に決めた。

 ここからが真骨頂だ。追加点を奪いに攻め急がず、守備に気を配る。後半の本山の鮮やかなミドルシュートマルキーニョスの3点目は、一瞬できたスペースを突いて生まれた。終盤の9連勝は勢いだけでなく、身につけた力を反映した結果だ。

 5年にわたる無冠の時を経てたどり着いた頂点。「僕が入ったころは当たり前にタイトルが取れた。苦労して奪った優勝は大きな意味がある」。小笠原は喜びをかみ締めるように話した。

 5年前の9冠目を知るのは6人。ほとんどが初めて味わう優勝だ。10冠目が新しい鹿島のスタートになる。〈1日、鹿島3―0清水〉

asahi.com鹿島が逆転優勝、6年ぶり5度目 サッカーJ1

サッカーのJリーグ1部(J1)は1日、最終節があり、鹿島アントラーズが6年ぶり5度目の優勝を飾った。本拠に清水エスパルスを迎えた鹿島は、3―0で勝って勝ち点を72に伸ばし、首位だった浦和レッズが敵地で横浜FCに0―1で敗れて、勝ち点70にとどまり、劇的な逆転優勝となった。鹿島はナビスコ杯3度、天皇杯全日本選手権2度と合わせ、主要10冠目のタイトルとなる。



 今季、新たにオリベイラ監督を迎えた鹿島は、開幕から5試合勝ち星がなく、苦しいスタートとなった。しかし、15節のサンフレッチェ広島戦以降は3〜4位をキープ。8月にはイタリアから戻った小笠原が加わり、攻守に安定感を増した。26節のアルビレックス新潟戦から9連勝で、終盤に失速した浦和をかわした。

日刊スポーツ鹿島奇跡の逆転Vで10冠/J1

<J1:鹿島3−0清水>◇最終節◇1日◇カシマ

 鹿島が奇跡を起こした。首位浦和と勝ち点1差で迎えた最終節清水戦に3−0で圧勝。浦和が最下位・横浜FCにまさかの敗戦を喫したため、最終戦で初めて首位を奪取という歴史的な逆転優勝を成し遂げた。開幕スタートはクラブワーストで、A代表選手はゼロという状況ながら、伝統チームのプライドに火がついて終盤戦に猛追。90分制(03年以降)では新記録となる9連勝で、浦和と残り5試合で10点差あった勝ち点を逆転し、6年ぶり5度目のリーグVを果たした。02年ナビスコ杯以来、5年ぶりのタイトル獲得で悲願の10冠を達成し、名門が復活した。

 体中に感動が走った。終了のホイッスルの瞬間、鹿島ベンチからオリベイラ監督をはじめ、控え選手、スタッフがピッチになだれ込む。その光景を見た出場選手は体を震わせて泣き、最高の笑顔を周囲に振りまいた。まだその時点で優勝は確定していなかった。大型スクリーンに浦和−横浜FC戦の中継が流され、PK戦のように1列になって見守る。それから約1分後、浦和イレブンの失意の表情が映ると、2度目の歓喜の瞬間が訪れた。奇跡が起こり、スタジアムが揺れた。

 世界クラブ選手権の優勝を経験したオリベイラ監督ですら我を忘れた。優勝インタビューでは、頭に血管を浮き上がらせて絶叫した。「自分自身も一晩寝られないと思う! 目が覚めた時にこのタイトルをかみしめたい!」。この劇的な優勝を象徴していた。

 5年ぶりのタイトルを目指した今シーズンは、苦難のスタートだった。クラブワーストとなる開幕5戦未勝利。4月7日の大宮戦の試合後には、チームバスが怒り狂ったサポーターの集団に囲まれた。「詐欺師!」「くそったれ!」。バスの中にいても、ありったけの罵詈(ばり)雑言が耳を突き抜けた。そして鹿島の置かれる立場を再認識した。常勝軍団であり続けないといけない−。「必要な危機感だった」(DF大岩)。この日の事件は、10冠への原動力となった。

 目の前の戦いから逃げられない宿命にある。不振を極めたリーグ戦と並行して行われていたナビスコ杯。4月11日の名古屋戦を前にオリベイラ監督は「メンバーを入れ替えたい」と強化部トップの鈴木満取締役に願い出た。だが却下された。「うちは、すべてのタイトルを取りに行くチーム」。Jリーグの規則に縛られたベストメンバー主義ではなく、それが鹿島に根付くポリシーだった。名古屋戦に勝ち、その直後の同14日の横浜FC戦で待望のリーグ戦初勝利を挙げた。快進撃はそこから始まった。

 ジーコがいたころのように、勝利のためには妥協しない姿勢が今年は見られた。試合でセットプレーからの失点が続いていたころ、DF岩政は練習を中断させてまでも首脳陣に細かく修正を求めた。1人で監督に主張し続け、練習の流れを止める。普段は温厚なFW柳沢が「早くやろう!」と怒鳴り、ピッチに緊張感が走った。勝利に飢えていたからこその衝突。若手のMF中後は「チームがまとまる上で必要だった」と感じた。

 02年の9冠目を最後に長い空白の時があった。MF青木は「自分にとっては10冠じゃなく、やっと第1歩を踏み始めた感じ」とかみしめた。A代表選手ゼロ、首位との絶望的な勝ち点差。チームが1つの戦う集団にならなければ、歓喜の瞬間は訪れなかった。今季3代目の主将に就任したFW柳沢は言う。「今までもそうだったけど、優勝するときのチームのまとまりを感じた。誇りを持ちたい」。

 これまでユニホームの左袖にあったタイトル数を意味する9つの星は、来季から大きな1つの星に変わる。この重みを忘れないために、左胸のチームエンブレムの上に縫い付けられる予定だ。奇跡とともに勝ち取った10冠は、永遠に語り続けられる。

日刊スポーツ本山&小笠原で名門の新時代/J1

 鹿島の「黄金世代」が光り輝いた。前半20分、今季途中にセリエAから復帰したMF小笠原満男(28)がPKで先制。後半3分には、MF本山雅志(28)が強烈なミドルシュートで追加点を奪った。98年同期入団の2人がともにフル出場し、名門復活の力となった。

 熱い涙が、ほおを伝った。本山は歓喜の輪を1人離れ、ゴール裏観客席の前に立った。歓声と拍手を全身で浴びると、栄光の背番号「10」が刻まれたユニホームを誇らしげに引っ張ってみせた。「やっと、自分の背番号に(通算Jタイトル数の)星が追いつきました」。重責を果たした喜びと安堵(あんど)感が、忘れかけていた笑みとなってあふれ出た。

 「10冠」。誰よりも使命を感じていた2人の男が、プレーに思いを込めた。序盤の劣勢に耐え、迎えた前半20分。マルキーニョスが獲得したPKを「オレが蹴る」と左腕にキャプテンマークを巻いた小笠原が名乗り出た。「自分が入団したころは優勝が当たり前だった。それが次第に取れなくなって、悔しい思いをしてましたから」。6月、海外挑戦を志半ばで断念し、セリエAメッシーナから古巣に戻った理由はただ1つ。プロ10年目のすべてを右足に込めて、ゴール左隅へ蹴り込んだ。

 後半開始早々の3分には、左CKから相手DFのクリアしたこぼれ球を、本山が狙った。バウンドするボールの上がりどころをめがけて、右足を一閃(いっせん)。「1−0では危ない。追加点がほしかった」とGKの手前で鋭くゴール左隅へカーブするミドルシュートで、追加点を奪った。思い起こせば入団当初、2度のW杯出場とともに06年での現役引退を考えていた。だが、夢は幻に終わり、待っていたのは「無冠の試練」。重圧に苦しみ、責任を感じた。「オレにはまだ、やり残したことがある」。ジーコやレオナルドが背負ったエースナンバーの返上も頭にチラつきながら迎えた今シーズン。プロ初のリーグ戦全試合出場を果たしたとき、ひと皮むけた自分がいた。

 「第2次黄金期」を期待された98年入団組。奇跡を起こしたピッチで、2人は固く握手を交わし、互いの胸を重ねた。重い扉は開き、次なる戦いが始まる。「11冠目」がかかる今年度の天皇杯、そして来季はいよいよアジア制覇に挑む。「自分が、チームを引っ張る立場になった。また、常勝と言われるように勝ち続けたい」という小笠原。名門の新時代が、始まりを告げた。

日刊スポーツ鹿島オリベイラ監督4度舞う/J1

逆転Vの興奮が冷めやらぬ中、ピッチ上のオリベイラ監督の周りには自然と選手が集まった。大歓声に包まれながら4度、宙を舞った。「気持ちが入りすぎて、どうなっているか分からない状態になって申し訳ないと思う。まだ興奮冷めやらないところなので、希望している言葉が出るか分からない」。

 くしくも横浜FCのジュリオレアル監督は大学時代の同級生。旧友に助けられてのVに「横浜FCはプロ意識のある試合をしてくれた。感謝したい。ジュリオレアル氏はブラジルでも名監督の1人として知られている」と持ち上げた。

 冷静な観察眼で信頼を勝ち取っていった。不振を極めていた4月ごろ、連戦の合間の2、3日間を戦術練習なしで過ごすことがあった。心配になったクラブ幹部が「何で何もやらないんだ」と聞くと、20年以上のフィジカルコーチ経験を持つ指揮官はこう即答した。「3人の選手の寝ている時の心拍数を測らせてみた。数値から今は休ませた方がいいと判断した」。GK曽ケ端は「練習をしっかり見てくれていて、モチベーションが上がる」と言う。

 会見の最後、オリベイラ監督は高井通訳に「一生懸命やってくれた」と語りかけた。涙ながらに通訳する姿に「こういった仲間と仕事をできて誇りに思う」。オリベイラ監督がつくった強いきずなが、鹿島を復活させた。

日刊スポーツ鹿島9連勝大逆転Vで10冠達成/J1

鹿島がJリーグ史上に残る9連勝の大逆転劇で、6年ぶり5度目の優勝を飾った。2位で迎えた清水との最終戦。前半20分に小笠原満男のPKで先制し、後半にも2点を追加し、3−0で快勝した。

 これで、リーグ、ナビスコ杯、天皇杯の主要国内タイトル獲得数はJリーグ発足後最多となる「10冠」を達成した。

 勝てばリーグ2連覇だった浦和はJ2降格が決まっている最下位の横浜FCに0−1で敗れ、勝ち点で鹿島に抜かれて2位に転落した。

日刊スポーツ鹿島オリベイラ監督逆転Vに興奮/J1

鹿島がリーグ9連勝で逆転優勝を決め、10冠を達成した。序盤こそ硬さが目立って押し込まれたが、前半20分に得たPKをMF小笠原が冷静に決めると流れをつかんだ。後半には2得点を加えて清水に完勝。浦和が敗れたため、最終節での逆転V決定となった。オリベイラ監督は「選手が信じて取り組んでくれたから、こういう結果につながったと思う」と、興奮気味に振り返っていた。

日刊スポーツ鹿島が最終節で逆転優勝/J1

 鹿島が最終戦で逆転優勝を決めた。前半18分、DF石神の左クロスにFWマルキーニョスが走り込んだ際、ペナルティーエリア内で相手DFと接触して転倒。PKを獲得し、同20分にMF小笠原が右足でゴール左隅に蹴り込んで待望の先制点を挙げた。

 鹿島は後半3分、MF本山の右足ミドルシュートで追加点を奪うと、13分にはゴール前でFW田代の横パスを受けたマルキーニョスが3得点目を決めた。浦和の敗戦で首位に立ち、01年以来、6年ぶり5度目の優勝を達成。通算でJタイトル「10冠」に輝いた。

サンスポスタジアムが揺れた!鹿島が奇跡の大逆転Vで10冠達成!

その瞬間、赤く染まったカシマスタジアムは確かに揺れた。勝利から2分後、スタジアム内のビジョンに浦和敗戦の映像が流れる。オリヴェイラ監督がピッチを駆け回る。MF本山、DF岩政の目からは大粒の涙がこぼれ落ちる。そしてゲーム主将MF小笠原は両手で何度も力強いガッツポーズ。3万1384人のサポーターは、惜しみない拍手と声援を送り続けた。紙吹雪の舞うなか、Jリーグ史に残る大逆転優勝の喜びを、みんなで分かち合った。

 「自分が入団したときは当たり前のようにタイトルを取っていた。でも、いまは勝つことの難しさを感じている。そのなかでタイトルを獲れたことはうれしい」

 前半20分、冷静に先制PK弾を決めたのも小笠原。浦和の試合経過は知らされていなかった。あくまで勝利を目指した。

 10冠へ今季、初めて監督、スタッフ、外国人選手を総入れ替えした鹿島。だが開幕から5戦白星なしと最悪。その後、開幕直前に左ひざ負傷で離脱していたMF野沢が復帰、FW興梠、FW佐々木ら若手の活躍で徐々に調子を上げる。そんなチームを欧州帰りの小笠原がさらなる上昇気流に乗せた。

 7月、出場機会に恵まれなかったセリエAメッシーナから約1年ぶりに復帰。「みんな、ただ練習をやっていた」と感じた。出場意欲がみえない控え組を鼓舞するため自ら先頭に立って走り、ボールを追った。トルシエ元日本代表監督から「なぜ話さない? 口がないのか」と罵られたことさえある控えめな東北男は、「自分がやることで感じてくれれば」と背中でチームを牽引。控え組の意識が高まったことでレギュラー陣にも緊張感が生まれる。小笠原の復帰後は9連勝を含む14勝2敗。数字が物語る。

 一時代を築いた鹿島も、かつては「J入りは無理」と言われた2部のチーム。ジーコ氏がボールの蹴り方から指導し、『勝者のメンタリティ』を植え付けた。「ジーコも常に『ファミリー』という言葉を使っていたけど、全員が助け合わないとチームとして機能しない」と小笠原。今では少なくなったジーコイズム継承者の下、チームは戦う集団となり、一つとなった。11月24日の浦和戦では9人で1−0勝利。そしてこの日、延長戦廃止後では最多となる9連勝。第18節には最大11あった首位との勝ち点差をひっくり返した。その年のA代表戦に出場した選手が一人もいないクラブが優勝したのは初。まさに奇跡だった。

 表彰式後、他の選手とともにスタンドでサポーターから胴上げされた小笠原。感動のフィナーレ。鹿島の新たな歴史が刻まれた。

サンスポミラクル呼んだ!鹿島・オリヴェイラ監督、就任1年目で歓喜

J1最終節(1日、鹿島3−0清水、カシマスタジアム)勝利の瞬間、派手なガッツポーズを決めたオリヴェイラ監督。その2分後、スタジアムのビジョンで浦和の敗北を確認すると、さらに大きなガッツポーズ。続いて真っ赤に染まったスタンドの前で、歓喜の胴上げだ。

 表彰式後のインタビューでは「リーグ戦の中で1回も1位を獲ることができませんでした。けれど最終のドラマに持ち込んで1位を獲ることができました」。興奮から、両手を振り上げてまくし立てた。

 今季から鹿島の監督に就任。同時にチームは初めて、外国人選手を総入れ替えした。00年にコリンチャンス(ブラジル)をクラブ選手権優勝に導いた名将も、開幕から5戦白星なし。0−0に終わった4月7日の大宮戦後には選手バスをサポーターが囲み、解任を要求する騒ぎに発展した。最悪のスタートに「選手たちは私を疑っていた。方針は間違いでないと説明する作業が必要だった」と指揮官はふり返った。

 試合では、練習で好調だった選手をすぐに起用した。浦和が首位を独走していたリーグ後半戦、何度も「あきらめなければ可能性はなくならない。自分たちの力を信じろ」と言い続けた。同時に競争意識を植え付けられたFW興梠、DF内田ら若手が実力を発揮しはじめる。

 “オズの魔法”にかかった鹿島の快進撃。「連勝の中で選手の自信が高まり、周囲に対する信頼も高まった。彼らが自分を信じてくれたこと、信じて練習に取り組んでくれたことが優勝へと導いた」と万感の思いを口にした。

 選手の睡眠時の心拍数を計測し体調をチェックするなど科学的要素を取り入れつつ、世界の情報を収集する柔軟性も持ち合わせている指揮官。すでに来季の編成について強化部との話し合いを行うなど、続投は確実。オリヴェイラ監督の下、鹿島がさらなる成長を続ける。

マルキーニョスがダメ押し…今季チームトップ14得点

 サンバのリズムで長髪を振り乱しながら、マルキーニョスは体全体で喜びを表した。前半18分にPKをゲットし、先制点をおぜん立て。2−0の後半13分にはDF2人に囲まれながらダメ押し弾。昨年、半年間在籍した古巣を相手にMVP級の活躍をみせた。

 「奇跡を起こした? そうじゃない。われわれがやってきたことがタイトルにつながったんだ」

 ジーコ、レオナルド、ジョルジーニョら、これまでの鹿島助っ人とは違い、渡り鳥。東京V、横浜Mなどを経て鹿島で5チーム目。チームプレーを尊重する伝統になじめず、クラブ側も一時は来季へ新外国人発掘に動いていたが、今ではチームトップ14得点、残留も濃厚だ。「これからもチームのために力を出したい」。偉大な先輩たちがやってきたように、鹿島を常勝軍団とする。

★試合後は応援席に飛び入り!サポーターとシャンパンファイト

 鹿島は試合後、場内を一周するとゴール裏の応援席へ飛び入り。小笠原、本山ら主力選手だけでなく、オリヴェイラ監督も交じって、サポーターと肩を寄せ合った。最後は場外の特設会場でシャンパンファイト。用意された48本のシャンパンとファンにも配られた400本の炭酸水はすぐになくなり、600本が追加された。

 鹿嶋市在住の教諭、久松研彦さん(26)は「試合終了後は自然と涙が出てきた。常勝軍団を築いてほしい」と興奮気味。埼玉・川越市の主婦、森岡万里さん(29)は「待ちに待った日が来た。レッズを抜いての優勝は本当にうれしい」と声を弾ませた。


◆鹿島・大東和美社長
「最後に奇跡が起きた。過去5年間は勝てなかったから、この優勝は5倍うれしい。このタイトルはアントラーズの関係者みんなの力によるものだと思う」



◆Jリーグ・鬼武チェアマン
「鹿島は“老舗”の意地を見せた。監督の積み上げてきたものが、終盤の9連勝で出たと思う。浦和はアジアCLに勝ってから、疲れがたまっていたのか元気がなかった。各クラブとも終盤盛り上げてくれて感謝している。浦和は思い切って気持ちを切り替えて、クラブW杯ではアジアナンバーワンの意地と誇りを見せてほしい」



◆Jリーグ・犬飼専務理事
「サッカーは何が起こるか分からない。(タイトルを)10個積み上げるのは大変なこと。(鹿島は)5年間、優勝がなかったけど、これを機会にいつも優勝争いする力を出せるようにね。カップ戦はG大阪が獲って、(浦和と)3つのクラブが来年のACLに出る。それぞれ、いい結果が出せてよかったと思う。浦和はしようがないね」

★児童無料招待で観客動員増

 タイトルから遠ざかっていたこともあり、鹿島の06年のリーグホーム戦平均観客は1万5400人まで落ち込んだ。そこでクラブが注目したのは『子供』。昨年からホームタウン5市(鹿嶋、神栖、潮来、鉾田、行方)の小学校に通う児童を対象に無料年間パスを発行。今年は5市にある全73の小学校を訪問して1万2283人の児童と触れ合った。今年の平均観客は1万6238人。わずか2年だが、効果は確実に表れている。

サンスポV決定弾の鹿島・本山が独占手記「チャンスがあれば海外で」

ここまで長かった。足が痛いというと外されるから、痛みがあってもいわなかった。全試合に先発できたのは我慢できたからだと思う。

 今季からプレースタイルを変えた。パズルのようにそれぞれに役割があって、それが合わさったときに1つの形になる。攻めたい気持ちもあるけど、そういうことを感じてプレーできるようになってきた。今年は監督が代わって、試合に出るためにも、要求されるプレーを心がけた。ミーティングでチームのいい部分を編集したビデオを見たら、自分が(相手に)寄せる動きだったり、守備をしていた場面が出てきた。監督に直接いわれたわけじゃないけど、求められていることを感じた。自分を殺したことで少しはチームに貢献できたと思う。

 ジーコやレオナルドがつけていた背番号10。02年からつけているが、(鹿島では)日本人で初めてだし、何かをやらなきゃいけないと思っていた。でもオリヴェイラ監督は「ジーコやペレのように神から才能をもらった選手のようにプレーしなくていい」と話してくれた。少しは背番号10のカラーを変えられたのかなと思う。

 今年で28歳。入団したときは、10年くらいで引退すると考えていた。プロでそれくらいやれれば十分かなと。それを考えるともう引退していないといけないけど、いまは全く考えていない。やっぱり、サッカーはおもしろいし、今も新しい発見がある。カズさん(横浜FCFW三浦知、40歳)までは無理だけど、体が動かなくなるまで走り続けたい。

 これまではチームで勝つことだけを考えていたけど、自分にも夢がある。チャンスがあれば海外でプレーしたいと思っている。これ以上、年を取ると行きづらくなる。来年が最後のチャンスだと思っている。日本とは違う環境には経験したことがない何かがあると思う。それに挑戦したいという気持ちはある。

 チームも少しずつ変化していかないといけない。ジーコの影響は大きいけど、それだけで勝ち続けられるわけではない。伝統も大事にしつつ、自分たちで新しいものを作っていく必要がある。ピッチに立ってプレーするのはジーコではなく、僕らなのだから。

アントラーズ戦士喜びの声


◆GK曽ケ端
「監督は練習から頑張った選手をしっかり使ってくれた。選手の競争心が優勝を導いた」



◆DF内田
「頑張ってきたシーズンで獲れた優勝。うれし泣きは初めて。みんなの姿がかすんで、まぶしかった」



◆DF大岩
「最後まで情報が入ってこなかったんでびっくり。これまでのサッカー人生でこんな優勝は初めてです」



◆DF岩政
「優勝できると思わなかったので信じられない。自分は1冠目。ここまでやってきたことが報われた」



◆DF石神
「試合に出ると相手は僕を狙ってくる。しようがないけど、逆にやってやろうという気持ちでやれた」



◆MF青木
「今季は結果を出さないと代えられる、常にその思いでプレーしたことが最後の連勝につながった」



◆MF小笠原
「以前は当たり前のようにタイトルを獲ったが、その後は勝つことの難しさを感じていた」



◆MF本山
「あきらめていなかった。終盤苦しい試合に勝ち、チーム一丸となったことで優勝できた」



◆MF野沢
「最初はけがで出遅れたけど、ここまでこれたことは自信になるし、みんなに感謝している」



◆FWマルキーニョス
「タイトルが獲れたのは強い気持ちで戦ったから。この仲間で優勝できてよかった」



◆FW田代
「最高です。9連勝だし、みんなが優勝をあきらめなかったから最後にこういう結果になったと思う」



◆FW柳沢
「最後はみんなの頑張りで勝ち取った優勝。今季は苦しんだ分だけ喜びが大きい。今後に非常に大きな意味がある」

スポニチ11差逆転V!鹿島奇跡の10冠

待ちに待った瞬間が訪れた。3―0で試合を終え、大画面に終了間際の浦和の試合が映し出されてから約2分後だ。浦和が敗れ、奇跡の逆転優勝での10冠達成が決定すると、スタジアムは大歓声に包まれた。まるで子供のようにはしゃぐオリヴェイラ監督。そして号泣する選手たち。小笠原がPKで先制し、本山、マルキーニョスが続いての完勝。2点目を挙げた背番号10の本山は「やっと背番号に星が追いついた。チームに歴史を刻むことができた」と喜びの声を上げた。

 オリヴェイラ監督の手腕が光った。シーズン前に左ひざを負傷した野沢の離脱も影響し、開幕からの5試合は白星なし。引き分けに終わった4月7日のホームでの大宮戦では、激怒したサポーターに史上初めてチームバスが囲まれた。指揮官も「最初は選手に全く信用してもらえなかった」と苦労を振り返った。

 それでも、オリヴェイラ監督はあきらめなかった。「方針は間違いではないと根気よく説得すればきっと信じてもらえる」。7月の夏合宿以降は全くフィジカルトレーニングを行わず、強化部から異議を唱えられたこともあった。だが、フィジカルトレーナー出身らしく、自らの指導法を貫いた。合宿での練習中には常にハートレートモニター(心拍数を図るベルト)を装着させ、時には自宅でも装着するよう命じて、選手の体調を徹底的に管理。体重の変化なども加味して、夏場は走り込む時期ではないと判断。コンディション維持を優先したことで、終盤戦でも鋭いプレッシングに陰りはなかった。

 リーグ戦が再開された8月12日の甲府戦から4連勝。指揮官への信頼度は急激に高くなった。首位との勝ち点差は最大で11もあったが、徐々に差を詰めた。9月15日の名古屋戦に1―3で敗れ、残り9試合で首位・浦和との勝ち点差は再び10となったが、オリヴェイラ監督は「サッカーは何が起こるか分からない。奇跡を起こせ!」とイレブンにハッパをかけた。そして、その9試合すべてに勝利。言葉通り奇跡を起こしてみせた。

 指揮官は「9連勝の過程で(選手との)信頼関係が深まった」と誇らしげに話した。根気よくチームを育て上げ、確固たる信念で率いたことが強い鹿島を復活させた。あとはチームの完成度を高めるだけ。最強軍団が新たな黄金時代を築くべく、その第一歩を踏み出した。

スポニチ2007年J1 鹿島 優勝写真特集

この写真が好き。
でも、この姿を生で観た弟が一言。


満男ってかぶり物好きだね。


うっせーww

スポニチ先制PK弾!小笠原が引っ張った

【鹿島3―0清水】深呼吸を1度した後、小笠原は丁寧にボールをセットした。前半20分、同僚のマルキーニョスが得たPK。背番号40に迷いはなかった。こん身の力で右足を振り切ると、GK西部の手をかすめて左隅に豪快にゴール。「(PKを任されて)おいしいなと思った。それでチームが落ち着いた」。ゲームキャプテンのゴールでチームは緊張から解き放たれた。鹿島が最終戦の勝利を確信した瞬間だった。

 悩んだ末に7月3日にセリエAメッシーナから鹿島に復帰した。当時は18節を終えた時点で首位とは今季最大の勝ち点差11。「優勝するために戻ってきた」と話した小笠原はチームの緩んだ雰囲気にがく然とした。優勝を知らない若手が増えた鹿島はいわば仲良し集団。「相手を押しのけようという気持ちが足りない」と練習から100%の姿勢を見せた。イタリアではレギュラーもそうでない選手も毎日が真剣勝負だった。背中でチームを引っ張った。

 小笠原はこれで10冠中7冠を経験した。だが、9冠目の02年はまだ23歳だった。入団当初は優勝が当たり前だったが、ジョルジーニョビスマルクの外国人やDF秋田らに引っ張られてプレーしていた。若いころは自分が交代を告げられると、悔しさのあまり自分に代わる選手を握手で送り出すことも忘れた。それが今はチーム全体を見渡している。2列目からボランチに下がると攻撃陣が気持ち良く動けるようにバランスを取り、得意の攻撃参加も自重した。

 5年ぶりのタイトルを「勝って当たり前のころに比べると今回は違う。自分が中心選手になってから何年もタイトルを獲れなくて苦しかった。みんながグラウンドで気持ちを出せたのが要因」とかみしめた。戦う気持ちこそ求めてきたもの。闘将と化した小笠原が鹿島を一段上へと成長させた。

スポニチ「魂は鹿島に…」ジーコ監督も祝福

フェネルバフチェジーコ監督も10冠を達成した古巣・鹿島を祝福。「優勝および10冠達成おめでとうございます。選手、スタッフをはじめ、チームを支えるすべての方々とこの喜びを分かち合いたいと思います。この劇的な復活劇に際し、陰でチームを支えてくださっている多くの方々の精進を想像せずにはいられません。多くの人々の期待を背負った鹿島、来年のACLを含め常にタイトル争いに絡むチームであり続けてほしい。いつ、どこにいても私の魂は鹿島にあります」とコメントを寄せた。

スポニチマルキーニョス残留祝いゴール!

【鹿島3―0清水】鹿島FWマルキーニョスは今季14得点目となるダメ押しの3点目を決めた。01年のリーグデビュー以来、シーズン自己最多得点をマークして優勝に貢献し「タイトルを獲るためにきついトレーニングをこなしてきた」と喜びに浸った。相手が昨季まで所属していた清水だったこともあり「弱点は分かっていた。最初のゴールでチームに勢いが出た」とご満悦。来季のチーム残留もこの日までに決まり二重の喜びだった。

スポニチ歓喜!指揮官もゴール裏飛び入り

【鹿島3―0清水】劇的な優勝を果たした鹿島の喜びは大きかった。試合後は場内を1周すると、ゴール裏の応援席へ飛び入り。小笠原、本山ら主力選手だけでなくオリヴェイラ監督も交じって、ファンたちと肩を寄せ合った。最後は場外のお立ち台に上がり、選手によるシャンパンファイトが行われた。柳沢の「サポーターの皆さん、10冠おめでとうございます」の掛け声でスタート。選手やスタッフ全員がサポーターの見守る中で48本のシャンパンと400本の炭酸水を頭から掛け合って喜びを分かち合った。

スポニチJリーグ杯4時間後にやっと到着

【鹿島3―0清水】最終節は鹿島と浦和の2チーム優勝の可能性があったため、Jリーグ杯(優勝銀杯)は浦和の試合会場である日産スタジアムに、優勝フラッグは鹿島の試合会場であるカシマスタジアムに用意された。優勝メダルは両スタジアムに用意された。鹿島の逆転優勝を受け、横浜市から鹿嶋市にJリーグ杯の輸送を開始したが、交通渋滞などもあり到着したのは優勝セレモニー終了後の午後8時すぎだった。鹿島の選手にメダルをかけた前浦和社長の犬飼専務理事は「サッカーは何が起こるか分からない」と逆転劇に驚きの表情だった。

中日スポーツ鹿島が劇的な逆転優勝 浦和は敗れる

サッカーのJリーグ1部(J1)は1日、各地で最終節を行い、鹿島アントラーズが逆転で6年ぶり5度目の優勝を決めた。

 2位だった鹿島は茨城県鹿嶋市カシマスタジアム清水エスパルスに3−0で快勝。首位の浦和レッズ横浜市日産スタジアムで最下位の横浜FCに0−1で敗れた。鹿島は最終節で浦和を勝ち点2上回る劇的なリーグ制覇だった。

 2部(J2)はコンサドーレ札幌が優勝し、2位の東京ヴェルディとともにJ1復帰を決めた。

 鹿島は前半20分に小笠原満男のPKで先制し、後半に2点を追加した。

 鹿島は元世界的スター選手のジーコを招いて強化を進め、リーグを代表する強豪クラブに成長。リーグ、ナビスコ杯、天皇杯全日本選手権の主要国内タイトル獲得数はJリーグ発足後最多となる通算10に達した。

中日スポーツ鹿島、9連勝フィニッシュ 大逆転10冠

◆鹿島3−0清水
 奇跡のドラマには、予想外のエンディングが待っていた。試合終了の瞬間、鹿島はオリベイラ監督(56)を先頭にベンチからスタッフが一斉に飛び出した。しかし、この時点ではまだ横浜FC−浦和戦は続行中。ピッチのMF小笠原は「普通に勝って良かったと思っていたら、スタッフが出てきたので、優勝かと思った。でも映像を見たら、まだ。だまされたと思った」

 その1分後、大型スクリーンに浦和の敗北が映し出されると、地鳴りのような大歓声が超満員のカシマスタジアムに響き渡った。オリベイラ監督に小笠原が抱きつき、岩政は地面に突っ伏したまま。みんな号泣していた。最後は選手全員がゴール裏のスタンドに上り、サポーターがオリベイラ監督を1回、2回と胴上げ。02年ナビスコ以来のタイトルで、ついに10冠制覇。5年分の歓喜がピッチ上で爆発した。

 “不屈”の逆転Vだった。開幕5試合未勝利という悪夢で始まった今季。チームバスがサポーターに囲まれる騒動も起きた。「あの悔しさを忘れるな!!」。選手たちは一年間、屈辱を胸に刻み戦い続けた。

 18節終了時点で首位・G大阪との勝ち点差は11。第25節時点では浦和と10差がついていた。それでも、決してあきらめなかった。指揮官は「残り試合を全勝すれば、可能性はある」と説き続け、0−3の完敗を喫した25節の名古屋戦(9月15日)後でさえも「心配するな。最終節には優勝争いをしている」と鼓舞。すると翌26節以降、90分以内勝利ではJリーグ新記録となる破竹の9連勝で、一気に頂点まで上り詰めた。

 タイトルに見放され続け、いつしか「10冠より、まず1冠」が合言葉になった。岩政、野沢、田代ら中堅の台頭が目立った今季だが、最後でタイトルを決めたのは、黄金期を知る小笠原の一発だった。A代表に1人も入っていないクラブの優勝は史上初の珍事だが、背番号「40」は胸を張る。「みんなで攻めて、みんなで守る。そういうところがいい。また常勝と呼ばれるように、魅力のあるチームになっていきたい」

 名門の誇りを取り戻し、鹿島の新時代が幕を開けた。

サッカー報知奇跡だ!鹿島10差大逆転V…J1第34節

◆J1第34節 鹿島3―0清水(1日・カシマ) メークミラクルで10冠達成だ。鹿島が9連勝で2001年以来6年ぶり5度目のリーグ制覇を果たした。MF小笠原満男(28)のPKで先制すると、MF本山雅志(28)の追加点などで3―0で清水を下した。首位・浦和が横浜Cに敗れたため、逆転優勝が決まった。残り5節で勝ち点10差をひっくり返す奇跡のV。9連勝は90分間制になった03年以降Jリーグ新記録となった。

 いくら泣いたっていい。いつまでも跳びはねていたっていい。浦和敗戦のシーンを場内の大画面で見届けると、どこからともなく「奇跡だ」と声が上がる。本山は胸の前で手を合わせながら崩れ落ち、顔を芝生に突っ込んだ。小笠原は誰彼かまわず抱き合った。9冠目から5年間を費やしての10冠達成。ピッチの各所に出来た歓喜の輪は、いつの間にか1つの大きな輪になっていた。

 タイトルの味を知る2人が引っ張った。前半20分、PKを小笠原が落ち着いて右隅に決め、先手を取った。さらに同期入団のMF本山が続く。後半3分、クリアされたボールを右足でダイレクトシュート。左隅を突き刺した。逆転優勝のために勝利しか許されない試合を、ベテランになったミツオとモトヤマの「ミツモト」コンビが勝負を決めた。

 「長い間欲しかったタイトルなので、とってもうれしい。多くの人が待ち望んでいたタイトルを取れた。みんなで勝ち取った」小笠原は岩手弁が交じるほど、興奮しながらマイクを取った。本山も「ようやく歴史に1ページを刻めた。本当に、本当によかった」と話すと、顔を覆う指の間から涙がみるみるあふれた。

 成長して帰ってきた。小笠原は今年7月、イタリア・メッシーナから鹿島に復帰。背番号は「初心に帰るため」とルーキーが背負うような40番を希望した。カルチョの国で暴動によるサポーターの死に直面し、「プロサッカーの影響力を学んだ」と、それまではしなかったサポーターへのサイン、ボランティア活動に積極的に取り組み、若手に手本を示した。

 また、「27歳で引退」というプランを描いていた本山も「10冠を取るまで辞められない」と引退を先延ばしにした。今季は守備を要求され、「チームのため」と得意のドリブルを封印。夫人から「気合を入れろ」と言われれば丸刈りにし、「体が動いていない」と指摘されれば、休日返上で走りに出かけた。すべては、この日のためだった。

 Jリーグ記録となる9連勝で、歴史に残る大逆転劇を起こした。シャンパンファイトで、2人はこの日何度目か分からない抱擁を交わし、「常勝軍団だ」と口をそろえた。28歳の2人が、鹿島新時代の幕を引き上げた。

サッカー報知10冠導いたオズの魔法…J1第34節

◆J1第34節 鹿島3―0清水(1日・カシマ) 鹿島が9連勝で2001年以来6年ぶり5度目のリーグ制覇を果たした。

 走り出していた。56歳の鹿島・オリヴェイラ監督はピッチを飛行機ポーズで駆け回り、ガッツポーズとともに雄たけびを上げた。何度も、何度も拳を握りしめた。「興奮でおそらく一晩中眠れないと思います。この喜びをかみしめたい」3度宙を舞うと、もう涙が止まらなかった。

 就任1年目にしてリーグ制覇へ的確な采配で導いた。開幕5試合未勝利と出遅れ、優勝が絶望視された中でも「サッカーは何が起こるか分からない」と訴え続けた。選手の士気が下降気味と見るや、好プレー集、過酷な走り込みをする姿を集めたイメージビデオを流し、メンタル面をコントロールした。

 不調のMFダニーロは春先で先発から外し、けがで長期離脱したDFファボンの穴にはベテランのDF大岩を起用。紅白戦ではサブ組にも目を光らせ、得点を重ねる19歳FW佐々木を起用したり、残り3試合となった柏戦では「練習で頑張っていた」MF船山を初先発させた。実績、国籍は持ち込まず、若手の登用、ベテランの融合で、調子のいい11人を見極めピッチに送り出した。

 先発起用できる助っ人はマルキーニョスだけで、A代表もいない日本人中心のチーム。それをカバーしたのは徹底した体調管理だ。毎日の練習後、全選手に体重を記入をさせ、就寝する際にも一部選手に心拍計をつけさせた。8月の夏季合宿を過ぎると「体調を考え、必要ない」と走り込みを一切させなかった。

 ブラジル時代に若手だったFWカカ、ロビーニョを育てた手腕。2000年にコリンチャンスをクラブ世界一に導いた“オズの魔法使い”は「この仲間たちを誇りに思う。我々は歴史に名を刻んだ」。今までの小さな9つの星が、鹿島ブランド再生の証しとして来季は1つの「ビッグスター」となって、ユニホームに刺しゅうされる。

 鹿島・大東和美社長「1%の可能性でも全力投球する、最後まであきらめないという気持ちが選手だけでなく、我々スタッフを含めてあった。優勝経験者はヤナギ(柳沢)、ミツオ(小笠原)らがいるけど、若い選手にも刺激になって、自信になった。最後の最後に勝ってドラマは起きました」

 ◆逆転優勝めも 1シーズン制では2005年優勝のG大阪が記録した勝ち点差12が最大。第11節で首位鹿島と12差の6位だったが、第22節に逆転。最終的に1差の中に5チームが入る接戦を制した。
チェアマン肩すかし

サッカー報知浦和敗れる!鹿島10冠!9連勝で逆転V…J1最終節

◆J1最終節(1日) 各地で9試合を行い、鹿島が3―0で清水に勝ち、2001年以来6年ぶり5回目のリーグ制覇。Jリーグ通算10回目のタイトル(リーグ戦5回、ナビスコ杯3回、天皇杯2回優勝)を獲得した。ホームで清水と対戦した鹿島は前半20分、逆襲からマルキーニョスが倒され、MF小笠原満男がPKを決め先制すると、後半3分にMF本山雅志ミドルシュート、同13分にFWマルキーニョスが速攻から追加点を挙げ3―0で快勝。勝ち点を72とした。首位の浦和が最下位の横浜FCに0―1で敗れて勝ち点70にとどまったため、鹿島の逆転優勝が決定。鹿島は国内主要大会でJリーグ発足後最多となる通算「10冠」を達成した。

 浦和は第30節(10月28日)に早々と優勝に王手をかけながら、1か月以上足踏みした末V逸という、最悪の幕切れとなった。

 G大阪と2―2で引き分けた広島が16位となり、J2で3位の京都と入れ替え戦で対戦する。試合は5日に西京極陸上競技場、8日に広島広域公園陸上競技場で行われる。 ジュニーニョ(川崎)が通算22点で得点王となった。

 ことし外国人選手と指導陣をそっくり入れ替えた鹿島は開幕からまさかの5戦連続勝利なし。しかし新任のオリベイラ監督のもと、徐々に順位を上げ6月には3連勝を記録してことし初の3位に。夏に元日本代表MFの小笠原がセリエAメッシーナから復帰した後は勝利を重ね、9月22日の第26節からは9連勝で、一時は10の勝ち点差があった首位浦和を猛追。最終節でことし初めてトップに立つ劇的な逆転優勝を果たした。

 

 鹿島・オリベイラ監督「今季のスタートは悪かったが、選手の意識を変えていく作業を積み重ねた。連勝により選手の自信が深まり、スタッフとの信頼関係も強まった。日本のサッカーの歴史に名を刻むことができ、仲間を誇りに思う」

 鹿島・大東和美社長「最後に奇跡が起きた。過去5年間は勝てなかったから、この優勝は5倍うれしい。このタイトルはアントラーズの関係者みんなの力によるものだと思う」

 ◆鹿島アントラーズ ホームタウンは茨城県鹿嶋市など5市。前身は1947年に創部された住友金属蹴球(しゅうきゅう)同好会。Jリーグ創設時の加盟メンバーで、元ブラジル代表の世界的名選手ジーコを迎えて強化に成功。Jリーグ開幕年の93年にステージ優勝した。2000、01年の2連覇を含む5度のリーグ優勝は最多。天皇杯は2度、ナビスコ杯も3度制しており、今回のリーグ優勝で10冠目となる。

デイリースポーツ名門復活…鹿島 逆転VでJ初の10冠

 Jリーグ1部(J1)最終節(1日・カシマスタジアムほか=9試合)、名門が復活した。前節まで2位だった鹿島はドイツW杯日本代表のMF小笠原満男(28)らのゴールで清水に3-0で圧勝。首位浦和が最下位横浜FCに敗れたため、最終節で浦和を勝ち点2上回り、6年ぶり5度目のJ1王者となった。これで鹿島のリーグ、ナビスコ杯、天皇杯全日本選手権など国内タイトル獲得数は、Jリーグ発足後最多となる「10冠」となった。

 1回、2回…。“魔術師”オリベイラ監督が鹿島の空を4度舞った。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、指揮官は真っ先にベンチを飛び出し、ホーム側スタンドに両手を広げて駆け寄った。浦和の結果を知らされていない選手がぼうぜんとする中で、オリベイラ監督だけが、一人だけ早く歓喜に酔っていた。

 だが、場内スクリーンで横浜FCの勝利が映し出されるやスタジアムが爆発し、ピッチに歓喜の輪ができた。

 MF小笠原のPKで先制し迎えた後半3分。CKのこぼれ球に、MF本山が右足を振り抜いた。「あんなにうまくいくとは思わなかった」と本人も驚くほどのシュートは鋭い弾道を描き、ゴールに突き刺さった。チーム唯一の全試合出場を果たし、試合を決める2点目を決めた。「ホント疲れてます。やっと自分の背番号に(獲得タイトルが)追いつきました」と、本山は背負った10番の重みをかみしめた。

 開幕から5試合勝ちなし-というクラブ史上ワーストの記録を作った。それでもオリベイラ監督は「1人1人がスーパーなわけではない。短所を互いにカバーし合うのが理想のチーム。選手を説得し、納得させることが重要だった」と根気よく選手と向き合い、自らのサッカーを浸透させていった。さらに、「個の自信が薄れていた」と判断。対話で常勝軍団と呼ばれたころのメンタリティーを選手に取り戻させた。DF内田も「あんなにいい監督はいない」と、その手腕を絶賛した。

 リーグ終盤は9連勝。一時は首位と最大11差(18節終了時。当時首位はG大阪)まで開いた勝ち点差をひっくり返し奇跡の優勝を果たした。戦士たちに再び常勝の誇りが宿り始めた鹿島が、10冠の重みを背負い、さらに進化していく。

デイリースポーツ小笠原 先制PK弾で大逆転V呼んだ

Jリーグ1部(J1)最終節(1日・カシマスタジアムほか=9試合)、3年連続で最終節にもつれ込んだ優勝争いは、鹿島が3-0で清水に完勝して勝ち点を72とし、横浜FCに0-1で敗れて同70にとどまった浦和を抜いて6年ぶり5度目の制覇を果たした。

 PKを蹴る直前、小笠原は大きな深呼吸を繰り返した。本人は「落ち着いて蹴れた」というが、これ以上ない重要な場面で、プレッシャーがかからないはずがなかった。

 今年7月、海外挑戦続行を希望したがかなわず、複雑な心境でメッシーナを退団し帰国。それでも「やりがいがあったし、充実した日々を送ってました」と、息を吹き返した。チームも小笠原に歩調を合わせて順位も上がり、奇跡を起こした。

 98年に鹿島に入団し、00年には史上初のリーグ3冠を達成。まさに黄金期を味わい「勝つのが当たり前だった」と振り返った。しかしメンバーも変わり、02年以降タイトルから見放され「自分が中心にならないといけない」という強い思いを持ち続けてきた。

 「苦しみながら優勝したので、今までのものとは違いますね」。名実ともにチームの中心となった小笠原が、もう一度黄金期を築き上げる。